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【会長挨拶 安藤 光義】
安藤 光義

 2024・2025年度の日本農業経済学会会長に就任することになりました安藤光義です。本学会は、農業、農村、食料、環境にわたる幅広い分野を包摂する学術団体であり、2024年に創立百周年を迎えることになりました。これまで積み重ねられてきた長い歴史の先に新たな歩みを踏み出すことに、大きな責任と重圧を感じている次第です。
 直近の2年間を振り返りましても2つの大きな大会が開催されています。前期の浅見淳之会長、伊藤房雄副会長をはじめとする先生方のご尽力により、2024年3月に東北大学において百周年記念大会が、また、2023年3月には加治佐敬常務理事のもと大会実行委員会が組織され、青山学院大学において第11回アジア農業経済学会国際大会(アジア農業経済学会・日本農業経済学会の共催)が盛会に終わったことは記憶に新しいところです。
 引き続き今期も副会長、常務理事の先生方をはじめ会員の皆様方のご助力、ご支援を賜りながら、学会の運営に邁進してまいる所存です。

 既にご存じのように、1999年に制定された食料・農業・農村基本法が四半世紀を経て改正されました。その背景にあるのは世界的な食料価格の高騰です。歴史を遡りますと、食料安全保障が論じられたのは今回が初めてのことではありません。
 今から半世紀前の1970年代前半を思い起こしてみましょう。世界的な異常気象、世界穀物危機、ソ連による穀物の大量買付け、穀物価格の高騰、アンチョビーの不漁、アメリカ合衆国の大豆禁輸措置、肥料・飼料価格の高騰、畜産危機、第4次中東戦争、第1次石油危機、狂乱物価などがキーワードとして頭に浮かんできます。ローマ・クラブによる「成長の限界」が出されたのもこの頃です。世界的な高度経済成長は終焉し、新たな時代に移行する転換点でした。今日、過去の事象のいくつかは形を変えて現れており、時代の転換点をもう一度迎えているように思われます。
 当時の日本は窮地に立たされていました。経常収支は赤字に転落し、エネルギーや食料を海外から調達することが困難になったからです。農業には一時的な追い風が吹き、食料政策の重要な柱として「食料安全保障」が位置づけられることになりました。
 この時は、しかしながら、物価上昇率を賃金上昇率が上回っており、人口は増加傾向、為替は円高基調でした。現在は逆に物価上昇率が賃金上昇率を上回り、人口減少回復の見込みは立たず、円安が進んでいます。経常収支は黒字ですが、所得収支の黒字によるもので、貿易収支は赤字に転落しています。杞憂に過ぎませんが、遠くない将来、再び「資源を持たない国」日本の脆さが露呈し、今度は再起できないかもしれません。
 国の命綱として農業、農村が果たしてきた役割の重要性を嚙み締めつつ、半世紀近く前の『農業経済研究』に収められた私たちの先達の諸論稿のように、会員の皆様方と一緒に冷静な目で曇ることなく社会全体を見つめていきたいと思います。
 なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

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